
全粒粉にも注意!グルテンフリーのための小麦粉代用食材
最近聞くことが多くなったグルテンフリー。グルテンとは小麦に含まれるタンパク質のことで、これを除去する食事のことを「グルテンフリー」と呼びます。
元々、グルテンフリーは小麦アレルギーやグルテン不耐などの“グルテン関連疾患”の方のための食事療法でした。
しかし近頃は、低糖質のブームと筋トレブームが相まったこともあり、食事中の糖質の割合を減らしたい方もグルテンフリーを応用している場合があるみたい。
今回は麦アレルギーで毎日グルテン除去生活をしている筆者が、みなさんの役に立つべくグルテンフリーの疑問を解決したいと思います!
「全粒粉」ってグルテンフリーなの?体に悪い?
本来グルテンフリーを厳格に実践するには、販売されている食品の裏の成分表示を読んで、「小麦」と書かれているものを全て食事から抜かなければなりません。
もちろん、いつも食べているパンだけでなく、加工食品に含まれる麦由来の成分もです。
しかし、パンの中には「全粒粉」と呼ばれる原料を使用した、なんとなく体に良いイメージのパンもありますよね。この全粒粉のパンならグルテンフリーなのでしょうか?
結論からお話しすると、答えは「×」で全粒粉はグルテンフリーではありません。ここからは全粒粉とグルテンについて、詳しくお話して行きましょう。
全粒粉と小麦粉の違い
全粒粉と小麦粉は、どちらも小麦が原料になっている粉で、作る時の精製度の違いで呼び分けされています。
- 全粒粉:小麦の粒(胚乳と胚芽)を丸ごと挽いたもの
- 小麦粉:小麦の粒の胚乳部分だけを挽いたもの
両者とも、使用する小麦の種類によってグルテンの含有量に違いが出るので、そこからさらに薄力粉や強力粉などと呼び分けがされます。
全粒粉は小麦粉よりも低糖質・低GI・低カロリー
全粒粉が体に良い理由は、小麦粉に比べて低糖質・低カロリーだから。また、食物繊維の含有量が多く、血糖値が上がりにくい低GI食品でもあります。
全粒粉のパンが体に良いと言われるのは、このような背景があるからです。
全粒粉にもグルテンが含まれるが、ダイエット時には推奨
実は、全粒粉はグルテンフリーではありません。品種によってグルテン含有量の多い少ないはあれど、小麦を使っている以上は必ずグルテンが含まれています。
なので、全粒粉のパンも絶対に食べてはいけないのかと思いがちですが、どんな目的でグルテンフリーをしているかによって変わってきます。
本来グルテンを消化できる人、つまりグルテンに耐性のある健康な体質の人は、グルテンが体に害を及ぼすことがないので、そこまで厳格にグルテンを除去する必要はありません。
健康のためのトレーニングや、美容のためのダイエットとして糖質を制限しているだけであれば、むしろ、全粒粉のパンを選ぶ事がメリットになり得ます。
精製された小麦粉を使用した「白いパン」よりも、精製度が低く低糖質な全粒粉を使用した「茶色いパン」を選ぶことで、効果的に糖質制限が出来るからです。
厳格なグルテンフリーが必要な場合は全粒粉のパンもNG
一方、麦の持つタンパクに対してアレルギー反応が出たり、グルテンを消化できないなど、「グルテン関連疾患」を持っている方は、グルテンを少しでも体に入れるだけで反応が出てしまうでしょう。
そのため全粒粉で作られたパンも、いわば体に毒になってしまうため、除去の対象になります。お医者さんや栄養士さん指導の下で、適切な除去をしましょうね。
「小麦粉」の代用になるグルテンフリーの粉
食事をグルテンフリーにするには、家庭で料理する時に小麦粉を辞め、他の粉で代用してしまうのが手っ取り早いです。
でも、前述したように健康に良さそうな「全粒粉」でさえもグルテンが含まれているのなら、一体どんな粉を使えば良いのでしょうか?
実は、世の中にはちょっとマイナーだけれど、グルテンフリーになっている粉がたくさんあります!
これから紹介する粉を普段のお料理に取り入れることで、いつもと違った美味しさを感じられるかもしれません♡
うるち米から作られる「米粉(上新粉)」
グルテンフリーの粉として一番メジャーなのは「米粉(こめこ)」です。米粉とは、うるち米から作られた粉の総称。 商品によって水分をどれくらい吸収するのかが違うので、グルテンフリー食をしている人はいろいろなブランドの米粉を使い分けているみたい。
最近では米粉を使ったパンや洋菓子のレシピも豊富にあり、小麦粉同様に炭水化物を含むので、代用になる粉としては一番定番のアイテムになります。
ちなみに、和菓子のお団子を作るための「上新粉」と呼ばれる粉も、うるち米からできている米粉の1つなので、グルテンフリーですよ。
もち米から作られる「もち粉」「白玉粉」
一方、もち米から作られるのは、大福餅に使われる「もち粉」と、白玉団子に使われる「白玉粉」です。この2つも、もちろんグルテンフリー。
例えば市販で売られている小麦製品のお菓子がなかなか食べられないとき、和のお菓子のバリエーションがあると楽しいかもしれません。
小麦粉と同様に炭水化物が含まれるので、代用しやすい食材です。
じゃがいもから作られる「片栗粉」
お料理の定番「片栗粉」も、じゃがいもが原料なのでグルテンフリーです。昔はカタクリという植物の根を使っていましたが、現在市販で安く流通しているものは、殆どじゃがいものデンプンが原料です。
こちらも同様に炭水化物なので、唐揚げを作るときや、シチューのとろみづけに、小麦粉の代用として使えます。味の癖が少ないので、和食にも洋食にも合います。
大豆から作られる「青きな粉」「黄きな粉」
日本人に馴染みの深い「きな粉」もグルテンフリーの材料の1つ。原料は大豆なので、もちろんグルテンは含まれていません。
ただし、小麦粉とは違ってタンパク質がメインの栄養成分になるので、きな粉を代用品に据えることで炭水化物が不足しがちになります。できれば他の食材で炭水化物を補えると良いですね。
糖質制限をしたい方にとっては、低糖質高蛋白なので、最もおすすめしたい粉になります。
きな粉はスーパーにも当たり前のように売っていて、比較的入手しやすいため、グルテンフリーレシピも豊富にあります。和菓子のイメージが強いですが、パンケーキなどの洋菓子に応用される事もあるんですよ。
蕎麦の種から作られる「そば粉」
蕎麦の種から作られる「そば粉」も、グルテンが含まれていません。家庭料理として使用するには、ややレシピが少ない事や、入手しにくいのが残念なところ。
注意したいのは、市販や外食のお蕎麦。お蕎麦の原料はそば粉と思い込みがちですが、たいていの場合は小麦粉が混ぜて作られているのでグルテンフリーではありません。
そのため、もしもグルテン関連疾患の方がお蕎麦を食べるとしたら、小麦を使用していない十割蕎麦を食べるか、そば粉で1からお蕎麦を打って自作する必要があります。
一方、糖質制限が目的の方が外食をするなら、そば粉が含まれているお蕎麦は、小麦で作られたうどんよりも低糖質・低GIなのでおすすめです。
キャッサバから作られる「タピオカ粉」「キャッサバ粉」
キャッサバというお芋のデンプンだけを抽出して作ったのが「タピオカ粉」です。水を含むとプルプルとした食感になることから、タピオカミルクティーとして話題になりましたね。
この「タピオカ粉」も実はグルテンフリー。小麦粉と同様に炭水化物を含む食品です。お菓子に応用しているレシピも見かけますね。
同じ原料で「キャッサバ粉」という粉もありますが、こちらはキャッサバの根を丸ごと乾燥させたものなので、同じ原料でもタピオカ粉とは製造工程が違います。でも、グルテンフリー食にはバッチリ使えますよ♪
非推奨:ライ麦から作られる「ライ麦粉」
ライ麦から作られる「ライ麦粉」にもグルテンは含まれていません。ライ麦は食物繊維やビタミンB群が豊富に含まれていて低糖質、さらに低GI。
なので本来は体が健康で、筋トレやダイエットで糖質制限をしている方に、非常に適している食材と言えるのではないでしょうか。
炭水化物なので小麦粉の代用品として利用しやすいと思いがちですが、グルテン関連疾患の人が家庭で使用するにはあまりおすすめはできません。
ライ麦にはグリアジンというグルテンに似た分子構造のタンパク質が含まれていて、これに反応する方もいるようなのです。
また、例えば普通のパン屋さんで作られたライ麦パンであれば、同じ施設内のまな板の上の小麦粉が微量に混入したりといった「コンタミネーション」の可能性がありますので、注意が必要です。
応用できる粉はいっぱい!グルテンフリーを楽しんで♡
今回は「全粒粉はグルテンフリーではありません!」ということ、そしてお料理の時に代用できるグルテンフリーの粉についてお届けしました。
筆者自身アレルギーがあるために、厳密なグルテンフリー生活を余儀なくされています。しかし食事で「米粉」や「片栗粉」が使えることが分かってからは、料理の幅が広がりました!
また、筋トレやダイエットで糖質制限をしている方にとっては、比較的糖質の低い全粒粉のパンやライ麦パン、お蕎麦が(グルテンは含有されているものの)メリットになり得るという事も大切なポイントでした。
みんながそれぞれの目的で取り組むグルテンフリー。せっかくなら、楽しく充実なお食事になれば良いですね♡
この記事があなたのお役に立てば幸いです。
【参考文献】
- 全粒粉の全て|低GIで食物繊維豊富?他の小麦粉との違いとは【KAWASHIMAYA】
- 米粉の種類【株式会社麻生圓兵衛商店】
- 低カロリーでグルテンのないライ麦でパン作り!小麦粉との違いを徹底解説【日本安全食料料理協会】
【本記事の制作者】
著者:WhiteLily*(Webライター/編集者)
監修:佐倉ゆずか(管理栄養士)