
1日30品目は無理?実はあまり知らない、本当に必要な食事バランス
皆さんは食事のバランスに気を付けていますか?
「食事のバランスをとるためには1日30品目食べましょう」と、どこかで聞いたことがあるかもしれません。では、本当にそうなのでしょうか?
今回は、本当に必要な食事バランスについて詳しく見ていきましょう!
「食事バランスって何?」
「どうやってバランスを整えたらいいかわからない!!」
なんて方でも、わかりやすい食事方法についてお話していきます。
「1日30品目」が達成不可能な理由
まず、「1日30品目食べましょう」というのは、どこからきているのでしょうか?
1985年に当時の厚生省(現在:厚生労働省)が健康づくりのための食生活指針の中で「1日30品目を摂取すること」という目標を掲げていました。ですが、2000年頃には削除されています。
国として目標を掲げていたので、現在も言葉が残り、信じられているようなのです。
現在の厚生労働省では新しい食生活指針を掲げ、「主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを」となっています。定食のような食事がイメージされますね。
「だけどやっぱり、30品目ってやっぱり食べたほうがいいんでしょ?」
そんな方に向けて、達成不可能な理由を見ていきましょう。
毎日たくさん作るのが非現実的
1日30品目の目標が掲げられた1985年当時と比べて、働いている女性も多くなりました。専業主婦世帯と共働き世帯の推移(厚生労働省)では、専業主婦世帯と共働き世帯が数値上完全に逆転し、共働き世帯が増えています。
そこから、家事の負担を少しでも軽くしようとする動きが多くなってきていますよね。1日30品目と考えながら調理するのは、現実的に考えてなかなか大変な状況ではないでしょうか。30品目となるとおかずの数も増え、時間もかかるため、毎日たくさん作るのは非現実的です。
家計にも負担がかかる
1日30品目を買おうとすると、あれもこれもとスーパーで買い物をしなくてはなりません。キャベツ、レタス、にんじん、トマト、玉ねぎ・・・と挙げていけばきりがないです。
30品目を摂ろうとすると、それだけ多くの食材を買わなくてはいけなくなり、家計にも負担がかかってきてしまいます。それでは大変ですよね。
1日で30品目も摂るとカロリーオーバーになる
1日30品目食べなきゃいけないから、といって1つの食材をたくさん食べてしまう場合があります。そうするとどうなっていってしまうでしょうか?
おかずや副菜1つ当たりのカロリーはそれほどではなくても、積み上げていけば必然的にカロリーオーバーに陥ります。
健康のためにはじめたことなのに、カロリーオーバーでは元も子もありませんよね。
食品ロスや環境汚染につながるリスク
30品目を達成しようとして買い物をし食べていても、全体の量が多い状態であると、なかなか全てを食べきることが難しくなります。
食べられる食材を捨ててしまったり、食材を腐らせてしまうことがあるかもしれません。これでは食材ロスになってしまいます。食材ロスの4割程度は家庭から出ていると消費者庁から発表もされているほどです。
環境汚染にも繋がるので、食品ロスを出さないように、食べれる量だけ食材を買うことが必要になってきますね。
もう「1日30品目」ではない!本当に必要な食事バランスとは
それでは、本当に必要な食事バランスとはいったいどのようなものなのでしょうか?
簡単に「バランスのよい食事」といっても、忙しい日々の生活の中で食事をしっかり管理するのは大変ですよね。そんな時に活用していきたいのが、厚生労働省と農林水産省が共同で策定した「食事バランスガイド」です。
食事バランスを整えられる「食事バランスガイド」って何?
食事バランスガイドについて、農林水産省のホームページを見るとこのように書いてあります。
1日に、「何を」、「どれだけ」食べたらよいかを考える際の参考にしていただけるよう、食事の望ましい組み合わせとおおよその量をイラストでわかりやすく示したものです。
健康で豊かな食生活の実現を目的に策定された「食生活指針」(平成12年3月)を具体的に行動に結びつけるものとして、平成17年6月に厚生労働省と農林水産省が決定しました。
出典:「食事バランスガイド」とは(農林水産省)
簡単に言うと、示されているイラストに沿って食べるだけでバランスが整う表のことを指します。誰でもわかりやすいように書かれているので、これを参考にすることで健康アップが期待できます。
「食事バランスガイド」の見方3ステップ
食事バランスガイドの見方を農林水産省のHPで確認するとずらーっと難しい単語が並んでいます。そこで、簡単に3ステップにまとめてみました。
これであなたも「食事バランスガイド」マスターに!
ステップ1:基本図形を知ろう!
食事バランスガイドで示されているコマのイラストには、2200±200kcal(基本形)を想定した料理例が表現されています。食事の適量(どれだけ食べたらよいか)は性別、年齢、身体活動量によって異なります。
例えば基本の図形では、身体活動レベルが「ふつう以上」の成人女性が1日に食べる量の目安になります。家事なども含め働く女性の場合は、基本図形の場合が多いので、こちらを参考にしましょう。
身体活動レベルについては、このあとの「自分にとって最適な食事バランスのめやす」で詳しく解説をします。
ステップ2:コマの中身を知ろう!
「食事バランスガイド」では、毎日の食事を 主食/副菜/主菜/牛乳・乳製品/果物 の5つに区分し、区分ごとに「つ(SV)」という単位を用いています。
また、コマの中には欠かすことのできない水分、お茶などの飲料類や、絶対に必要ではないですが、心のうるおいにとって必要とされる菓子・嗜好飲料などの食べ物も。
さらに、そのコマを回すための運動についてもイラストで表現されているのです。
ステップ3:コマの中身の通りに食事を摂ろう!
コマの中身はステップ2でわかりました。あとはそのコマの階層ごとに中身の量が示されているので、その通りに食事をしてみましょう。それだけで、ちゃんとバランスが整った食事を摂れるのです!
自分にとって最適な食事バランスのめやす
「食事バランスガイド」を使う際には、自分の性別・年代にあった必要エネルギー量を確認してから使いましょう。
ここでは身体活動レベルという自分の生活動作状況が必要なので、そちらも合わせて確認してみてください。
身体活動レベルとは、日常生活の平均的な活動の強度を表したものです。
「ふつう以上」とは、座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合。
「低い」は、生活の大部分を座って過ごし、静的な活動が中心の場合。
これらを参考に、自分にあった活動レベルから食事バランスガイドを確認していきましょう。
それでは例として、18歳~69歳の女性で身体活動レベルが「ふつうの場合」と「低い場合」を見ていきます。
18~69歳の女性で身体活動レベルが「ふつう」の場合
エネルギー量の目安:2200kcal(2000~2400kcal)
- 主食:5~7つ
- 副菜:5~6つ
- 主菜:3~5つ
- 牛乳、乳製品:2~4つ
- 果物:2つ
- 菓子、嗜好飲料:1日200kcal程度までが目安
18~69歳の女性で身体活動レベルが「低い」の場合
エネルギー量の目安:2200kcal(2000~2400kcal)
- 主食:4~5つ
- 副菜:5~6つ
- 主菜:3~4つ
- 牛乳、乳製品:2~4つ
- 果物:2つ
- 菓子、嗜好飲料:1日200kcal程度までが目安
「食事バランスガイド」では上記が1日に食べる目安になります。自分にあった表を活用して、食事をしてみてください。
「1日30品目」はもう古い!本当の食事バランスを覚えよう
ここでも解説した通り、1日30品目はもう古い概念です。
これからは新しい食事バランスである「食事バランスガイド」のコマを参考にして食べてみてください。食事バランスの整った健康な生活を送りましょう!
参考記事: